福島第一原発事故の真実

 2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災は、大津波や火災などにより2万人以上の死者・行方不明者が発生する大災害となりました。福島第一原発では、地震により外部電源を失った後、非常用ディーゼル発電機が起動しましたが、地震の約50分後に押し寄せた14~15mの大津波によって発電機や電気設備が海水を被って使えなくなり、全電源を喪失して原子炉が暴走する過酷事故=シビアアクシデントとなりました。吉田所長ら東京電力の職員は、水素爆発によって1,3,4号機の原子炉建屋が次々と吹き飛ぶ中、原子炉の冷却、電源回復、ベントなどに、まさに死を覚悟して対応しました。しかし、その努力の甲斐もなく、1~3号機が次々とメルトダウンし、大量の放射性物質が大気中に放出され、10万人以上の住民が避難する大事故となりました。

 福島第一原発事故の真実は、この過酷事故の進行状況、東京電力や政府の対応、事故後の現状、事故発生の原因などについて、HNKメルトダウン取材班が10年もの歳月をかけて独自に調査した結果をまとめたものです。福島第一原発事故については、技術者倫理の講義でも取り上げており、一般の人よりも知っているつもりでしたが、その内容には衝撃を受けました。

 原子力に関わっている電力会社、研究者、政府・自治体の皆さんはもちろん、危機管理に携わっている人は、是非とも読んでおくべき一冊だと思います。合わせて、東日本大震災の津波被害は軽減できた!?のページも読んでみてください。

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